美と健康は歯で創られる~令和編~ ②

第1回 歯と人生 その2

(続き) 

 さて、まずは、人の成長と歯が生えてくるタイミングを確認してみましょう。

 歯や歯周組織のもとになる歯胚(しはい)は、乳歯は妊娠2週目頃から、永久歯は妊娠4か月頃に形成されます。一般的には、乳歯は生後8~9ヶ月頃に生え始め、生後3歳頃までに乳歯列が完成します。永久歯は6歳頃に生え始め、小学生の間に乳歯と永久歯の交換が起こります。そして12歳前後に親知らずを除いた永久歯列が完成します。親知らずは正常な場合は、10代後半から20代前半に生えてきます。(参考:「ヒトの歯の発育時期と経過」Schhour I and Massler M, 1940)

 先天的な異常や外傷等の特異的な問題がない限り、そして先に述べた理由で歯を失うことさえなければ、人は親知らずを除いて28本の歯で生涯を終えることができるはずなのです。むし歯や歯周病になる要因の一つはそれらの原因菌の存在ですが、実は、食生活を含む生活習慣にも大きな要因が潜んでいます。

 世界的に有名なフランスの食通、ブリアーサヴァラン(1755-1826)は、名著、「美味礼賛(原標題は「味覚の生理学」)の序文の中にこう書いています。「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人であるかを言いあててみせよう。」

 私を含め、歯科医師なら、こう言うかもしれません。「お口の中を見せていただけますか?あなたがどんな方であるかを言いあててみせましょう。」そして、こう続けたいと思います。「あなたの健康長寿と日々の幸せのために、歯科医師としての立場から少しご提案をさせていただけませんか?」

(次号に続く)

*本稿は一般社団法人日本内部監査協会の「月刊 監査研究」2014年4月〜2015年3月号に連載された、ひとみデンタルクリニックの歯科医師、権藤ひとみ著、「美と健康は歯で創られる」を編集、加筆したものです。©Hitomi Gondo